鈴木工務店は昭和25年創業。現在の北杜市武川町が、北巨摩郡武川村だった頃のことです。戦後、高度経済成長とともに住宅産業が工業化していく流れの中で、構造材を工場で加工するプレカットが主流となっていきました。そんな中でも、昔からの木の技術で手刻みの仕事をし続けてきた結果、今では「伝統木造」の技術を保ち続ける数少ない工務店のひとつとなりました。
初代。鈴木親方の父。厳しい人だった。
昔の知恵を今に活かす家づくり
もともとは、地域の新築や、古い家の修繕や改修などを手がけていましたが、近年では「無垢材と自然素材の家づくりのできる工務店」として、この地域に移住してくる家族の新築や、古民家のリノベーションなども依頼されるようになりました。以前より、無垢の木を手刻みする家づくりが、環境との共生やその家族らしいライフスタイルの実現といった価値をもつようになってきているのを実感しています。
地元上三吹の「祇園祭」の山車
地域に根ざした工務店として
「地域の大工」として、地元、武川町上三吹で毎年7月に行われる「祇園祭」の山車づくりも依頼されます。「祇園祭」は、上三吹集落を通る一本道を、笛太鼓を演奏する者を乗せた山車を、大勢で引いて練り歩くお祭りです。ハイライトは山車の上から「富くじ」をばらまき、釘をつけた棒で、アタリの札を突いて番号を読み上げる時。その場で景品をもらって帰るのが楽しみです。長いこと初代が作った山車を引いていましたが、平成元年以来、現親方が新調したものを使っています。
平成26年の大雪の時、モデルハウスを避難所がわりにして、
20人以上の人を受けいれました。
平成26年の記録的な大雪の時には、県内を出入りする道路が通行止めになり、山梨県全域が孤立しました。鈴木工務店のすぐ脇を通る国道20号線では、多くのトラックや乗用車が立ち往生。トイレもない、暖房もない、食べるものもない・・という状態で困っているだろうと、一台一台の車に声をかけ、運転手さんたちにモデルハウスを使ってもらいました。あたたかい汁とおむすびの炊き出しをし、数日間ともに過ごしました。モデルハウスがこのようにして役に立つことがあってよかったと、つくづく感じました。
これからも、住まわれる家族が健康で幸せに暮らせて、地球環境にも負担をかけないような無垢材を手刻みする家づくりを続けていきます。また、地場の工務店として、地域貢献やその時々で社会に対してできることを、していく所存です。