リビングの東西の建具には
サンドブラストで描かれた八ヶ岳と駒ヶ岳
奥の和室の床を組み替えると
端正な囲炉裏が現れる
上品な佇まいを持ちながら
たくさんのアイデアにあふれた家
米どころとして知られる北杜市武川町に、その家はあります。まるで京都の町屋のようなコンパクトな間口と奥深くまで続くのびた敷地の中に、密度の濃い家を作りました。建主様の人生を豊かにする家です。
京町屋のような通り土間
上品な軒裏を見上げながら玄関をくぐると、リビングまで伸びた細長い洗い出し土間が続きます。薪ストーブを土間の上に設置したので、床を汚すことなく薪をストーブまで運び入れることができます。家の奥深くまで気軽に靴で入って行けるところも町屋のようです。
吹き抜けのリビングには
八ヶ岳と駒ヶ岳
リビングには、力強く存在感のある梁が吹き抜けを形作っています。すぐ横には2階へと続く階段を配置し、この空間を立体的に楽しめるようにしました。
この家の北東の方角には八ヶ岳、南西には駒ヶ岳がそびえ立っており、それを映し取るようにして、リビングの両サイドの建具のガラスにサンドブラストで両峰の絵を描きました。家の中に居ながらにして、日本有数の山々を感じられます。
壁紙もこだわってみました
吹き抜けの2階部分の東側にはイギリスのクラシカルな植物模様の壁紙を、1階の和室には竹久夢二が描いた「たちばな」の絵の壁紙を貼りました。両方とも建主様が選んだもので、この家に彩を添えています。
囲炉裏が生み出す
火を囲んで語らう時間
奥の和室には囲炉裏を作りました。一見すると普通の畳敷きの部屋ですが、半畳の畳を外して炉縁をはめ込み、格子天井に自在鉤をつるすと囲炉裏の出来上がり。薪ストーブと並び、家の中に火があるというのは、なんとも豊かな気持ちになります。
テキスト・撮影: 持留和也